狩野永岳「富士昇龍図」
狩野永岳「富士昇龍図」
富士山を昇る龍を、巧みな筆墨技法で描いた作品です。
富士は「不時」と、龍は「断つ」と音が通じることから、富士山と龍の組み合わせは「不時(不幸)を断つ」吉祥画題として、江戸時代より好まれてきました。
画面下に渦巻く奔流は今まさに雲へと変化し、立ち籠める暗雲から一頭の龍が姿を現します。
龍は、大気を鋭く切り裂きながら、遥かな富士めがけて空を翔けていきます。
淡墨で表された富士山の「静」と、濃墨で表された龍の「動」との対比が、画面にドラマティックな効果を生み出しています。
なお、静岡県立美術館には本作品と同図様の狩野永岳筆「富士山登龍図」(1852年)が所蔵されており、本作品と近い時期に制作されたものと思われます。
幕末京狩野における伝統と革新の絵師・狩野永岳の実力が遺憾なく発揮された優品です。
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