久隅守景「清少納言図」

久隅守景「清少納言図」

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商品番号
商品名 久隅守景「清少納言図」
全体サイズ 110.5×55.8cm
本紙サイズ 29.4×44.0cm
作者 久隅守景
制作年代 17世紀
価格

 こちらに背を向けて立つ女房装束の女性。左手に持った桧扇で顔を隠し、たおやかな佇まいを見せています。豊かな黒髪は背中に垂れかかり、袖の下を通って裾へと流れます。折り重なる装束の直線と、水のように流れかかる黒髪の曲線とが、互いの美しさを引き立て合っています。
 淡彩を用いた瀟洒な画風に、師・狩野探幽の影響がうかがわれる一方、渇筆による軽妙なタッチ、肥瘦を巧みに操った筆運びなど、守景独特の表現も光ります。
 本作品は清少納言図と伝わりますが、あるいは六歌仙・三十六歌仙の一人に数えられ、絶世の美女と称された小野小町を描いたものかもしれません。本作品と類似の図様で小野小町を描いた守景作品の存在が、いくつか確認されています。いずれにせよ、ここに描かれた女性はその美貌を扇子で隠し、謎めいた横顔をわれわれに向け続けるのです。

 さて、本図の画面右下には「一陳翁」の落款が見えます。「無下斎」「無礙斎」「一陳翁」などの業を持つ守景ですが、実は、落款にはもっぱら「守景」を用いたことが知られています。現在、守景の基準作で「一陳翁」の落款を用いた作例は、わずかにボストン美術館所蔵の「山水図」が知られるのみとなっています。
 守景の生没年は明らかになっていませんが、「一陳翁」の款記をそなえた本作品は、おそらく守景晩年の作でしょう。歳を重ねても衰えぬ守景の画技がうかがえる、きわめて希少な作品です。

久隅守景(もりかげ・生没年不詳)は江戸時代前期に活躍した狩野派の絵師です。狩野探幽(1602~1674)門下の四天王の一人と称されましたが、のちに破門され、独自の画風を切り開きました。国宝「納涼図屏風」(東京国立博物館蔵)などで知られています。


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