久隅守景「費長房図」

久隅守景「費長房図」

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商品番号
商品名 久隅守景「費長房図」
全体サイズ
本紙サイズ
作者 久隅守景
制作年代 17世紀
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 費長房(ひちょうぼう)は、古代中国の書物『神仙伝』に登場する人物です。後漢の役人であった費長房は、ひょんなことから壺公(ごこう)という仙人に弟子入りし、自らも仙人となるべく厳しい修行に励みます。修行はあと一歩のところで失敗に終わったものの、長寿と霊力を授かって帰郷し、治病や求雨などの奇蹟を行ったと伝わります。

 『神仙伝』のエピソードに鶴は登場しませんが、本図には、鶴に乗って空を飛ぶ費長房の姿が描かれています。
 近世の日本では、費長房というと本図のような乗鶴仙人の姿で表されることがほとんどです。おそらく、飛仙が登場するほかの中国故事との混同や、いずれも不老長寿を象徴する鶴と仙人を結びつける思想から、原典の文脈にはない新たな図像が生まれたのでしょう。

 守景の絵筆は、故事に由来する伝統画題にほんの少しの諧謔味を加えて、魅力あふれる絵画世界を作り出しています。
 何かを悟ったような神妙な面持ちの費長房に対し、地上の三人はあんぐりと口を開け、驚いた表情で空を見上げています。少ない筆数ながら、人物の生きた表情を捉える画技の巧みさに驚かされます。活き活きとしてメリハリのある描線や、柔らかな淡彩の色合いに、守景画の特徴がよく表れた優品です。
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久隅守景(もりかげ・生没年不詳)は江戸時代前期に活躍した狩野派の絵師です。狩野探幽(1602~1674)門下の四天王の一人と称されましたが、のちに破門され、独自の画風を切り開きました。国宝「納涼図屏風」(東京国立博物館蔵)などで知られています。


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