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『古今和歌集』秋の巻に、「嵯峨野にて馬より落ちてよめる」として、こんな歌が収録されています。
「名にめでて折れるばかりぞ女郎花 我落ちにきと人に語るな」
花を手折ろうとして落馬したことを、照れ隠しのように詠んだ一句。作者は、平安前期の僧で六歌仙の一人に数えられる僧正遍昭です。
さて、女色を禁じられた僧侶という身分をふまえると、この歌のユーモアはより深みを増してきます。 女性(おみな)を圧倒する(へす)ほどの美しさから、その名がついたといわれる女郎花(おみなえし)。僧侶たる自分が、そんな女郎花に心奪われて落馬してしまった… そこで遍昭は、「『女郎花』という名前に惹かれて手折っただけだ。僧である私が女色の戒めを破って堕落したなんて、他の人には黙っておいてくれよ」と詠んだのです。
守景の絵筆は、そんなユーモアあふれるエピソードを軽妙洒脱に描き出しています。
落馬してもなお、笑みを浮かべて花に手を伸ばす遍昭。 遍昭には目もくれず、スッと背筋を正し凛々しく咲く女郎花。二人(?)の対比がなんとも滑稽で、思わず微笑んでしまいます。
守景らしい肥痩に富んだ描線と、柔らかな淡彩の色合いも魅力的な作品です。
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久隅守景(もりかげ・生没年不詳)は江戸時代前期に活躍した狩野派の絵師です。狩野探幽(1602~1674)門下の四天王の一人と称されましたが、のちに破門され、独自の画風を切り開きました。国宝「納涼図屏風」(東京国立博物館蔵)などで知られています。
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